腸内細菌叢の乱れがアレルギー疾患の原因かー鶏卵アレルギーの小児腸内細菌叢分析、酪酸産生菌の減少を確認ー

投稿者: | 2021年4月6日

食物アレルギーというのは、なかなか厄介なものです。

厚生労働省の発表によれば、我が国全人口の約2人に1人が何らかのアレルギー疾患に罹患していて、急速に 増加している。
出典:リウマチ・アレルギー対策委員会報告書(平成23年)

ということであり、年々増加の傾向を辿ってきている。今回発表された内容は興味深いので紹介します。

(引用以下よりーーーーーーーーーー

学校法人関西医科大学(大阪府枚方市 理事長・山下敏夫、学長・友田幸一)小児科学講座(主任教授・ 金子一成)山岸満医師、同赤川翔平講師らの研究チームは、鶏卵アレルギーを持つ小児患者と、同年代 の健康な小児の腸内細菌叢を比較し、前者では腸内細菌叢の多様性が低下していること、腸内細菌叢に 占める酪酸産生菌※1 の割合が有意に低下していることを発見しました。

これは、鶏卵アレルギーを持つ小児患者 18 例と、健康小 児 22 例の便を用いて遺伝子解析を行い、両者の腸内細菌叢 について

  1. 多様性
  2. 酪酸産生菌の割合
  3. 構成菌目

を比較 した結果から分かったものです。酪酸産生菌は腸内で酪酸を 作り出し、その結果過剰な免疫を抑制する制御性 T 細胞※2 を増やすことが知られていることから、酪酸産生菌の減少は 制御性 T 細胞の減少を招き、過剰な免疫応答を防ぐことが できないためアレルギー症状をきたすと考えられます。
本研究成果は、酪酸産生菌の減少という腸内細菌叢の乱れ を改善させることが、各種アレルギー疾患の予防・治療につ ながる可能性を示したものと考えられます。
なお、本研究をまとめた論文が欧州科学誌『Allergy』(イ
ンパクトファクター:8.706)に 3 月 9 日(火)23 時付(日本時間同 10 日 8 時)に掲載されました。

ーーーーーーーーーー引用ここまで)

関西医科大学発表資料より

http://www.kmu.ac.jp/news/laaes7000000g08n-att/202100405PressRelease.pdf

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