線香の煙を吸入すると喘息が悪化する?ー線香の煙が気道に及ぼす影響を科学的に解明ー

投稿者: | 2021年4月1日

線香を使用する国や地域は、仏教圏を中心にアジアの国では広く使われています。日本では仏壇があれば常日頃線香を使用することも多く、最近ではエスニック雑貨店などで取り扱う「お香」でリラクゼーション効果を期待して利用する方も少なくは無いでしょう。

しかし、香りよりも気になるのは煙であり、煙は気道に影響を与えるのは容易に想像できる。

以下の新しい研究結果が発表されたので、ページを引用して、わかりやすく文章を変えずに見やすく編集しました。

(以下引用________________________

九州大学大学院医学研究院呼吸器内科学分野の松元幸一郎准教授、九州大学病院の神尾敬子医員、山本宜男医員らの研究グループは、線香の煙を吸入すると気道が収縮しやすくなり、気道を覆う上皮のバリア機能が低下することで、喘息を悪化させる可能性があることを明らかにしました。

 線香はアジアや中東の多くの国で、宗教的行事や香りを楽しむものとして慣習的に使用されています。線香を燃やすと多くの有害物質が発生し、タバコの燃焼時よりも高濃度のPM2.5が室内に長時間浮遊することが知られています。また最近の臨床研究で、線香を日常的に使用する家庭の子供は、使用しない家庭と比べて喘息のリスクが高く、肺機能も低下しやすくなることが報告されています。しかし、線香煙の吸入が、肺や気道の機能にどのように影響するのかは不明でした。

 本研究では、マウスに線香煙を吸入させると、気道過敏性が亢進(気道が収縮し喘息をおこしやすくなる)し、肺のタイトジャンクション蛋白※の発現が低下することを明らかにしました。さらに、線香煙は気道を覆う上皮細胞のバリア機能を低下させました。

これらの線香煙によるマウスの肺や気道への有害な作用は、線香煙吸入後に発生する酸化ストレスによるものであり、抗酸化剤を使用することで症状を改善することができます。

※タイトジャンクション蛋白は、細胞同士を密に結合させ気道上皮のバリア機能を保っており、炎症の原因となる吸入抗原が体内へ侵入することを防いでいます。

この成果は2021年3月31日付で「Scientific Reports」に掲載されました。

___________引用ここまで)

出典元:https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/585

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