妊婦の染毛剤使用と生まれた子供の3歳時のアレルギー疾患との関係について〜山梨大学の研究より〜

国立大学法人山梨大学のエコチル調査甲信ユニットセンターの研究チームは、環境省の「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」による104,062人の妊婦のデータを用いて、妊婦の染毛剤の使用状況と生まれた子どもの 3 歳時のアレルギー疾患との関連について、同意撤回、死産、流産、染毛剤の使用及び生まれた子供の3歳時のアレルギー疾患のデータに欠測がある人を除いた77,303人を対象として解析しました。

その結果、染毛剤を自宅で使用した妊婦と、職業で使用した妊婦はどちらも、使用していない妊婦と比べて、生まれた子どもが 3 歳時に気管支喘息やアレルギー性鼻炎になりやすい傾向があることが明らかになりました。

 また、妊婦の染毛剤の自宅使用の頻度が上がるほど、生まれた子供が3歳時にアレルギー性鼻炎を発症する可能性も高まる傾向にありました。

 なお、本研究に用いた染毛剤の使用状況については、質問票調査の回答によるものであり、必ずしも実際の染毛剤のばく露状況を反映しているものではありません。今後はより詳細な染毛剤の使用状況を含めた研究が望まれます。

本研究の成果は、令和3年6月 24 日付で環境医学分野の学術誌「EnvironmentalResearch」に掲載されました。

染毛剤は接触性皮膚炎を起こしやすく、蕁麻疹やアナフィラキシー、気管支喘息を引き起こすと報告されています。使用前には、必ずパッチテストをするように注意書きがされているところからも、理解できるものと思います。

白髪が気になる年齢の方および若白髪でお悩みの方で妊娠を希望されている皆さま、是非ともこの研究結果を受け入れていただき、妊活の一つの知識として取り入れていただけたら幸いです。

出典:https://www.yamanashi.ac.jp/wp-content/uploads/2021/08/20210803pr.pdf

幼少期のテレビ視聴は学童期の視力低下につながる

昔からテレビと目の悪さの関係を、親から口うるさく言われてケンカになった覚えのある年代はの方々は多かったのではないかと思います。

ここ何年かでも、動画視聴と言葉の発達に関する研究も発表されたのも記憶に新しいところ(すみません、出典元忘れました)。

最近では、子守が代わりにタブレットで動画サイトなどを見せておく親御さんがほとんどではないでしょうか。そこに一石を投じるような研究が出ましたので紹介します。

(引用ココからーーーーーーーーーー

岡山大学学術研究院ヘルスシステム統合科学学域(医)生体機能再生再建医学分野の松尾俊彦教授は、岡山大学学術研究院医歯薬学域(医)疫学・衛生学分野の頼藤貴志教授と共同で、21世紀出世児縦断調査のデータを使って、幼少時のテレビ視聴とその後の小学生時(小学校1年~6年)の視力低下との関連を調べました。

1.5歳と2.5歳の時に「主な遊びがテレビを見ること」である子供は、その後小学生になった時に「視力が悪くなった」という親の悩みと関連があることが分かりました。また、2.5歳の時のテレビを見る時間が長い場合にも、小学生時に視力が悪くなることと関連がありました。

なお、3.5歳、4.5歳、5.5歳ではテレビを見る時間が長くても、小学生時に視力が悪くなることと関連はみられませんでした。

本研究成果は令和3年3月16日、日本眼科学会の国際機関誌「Japanese Journal of Ophthalmology」に掲載されました。視覚が発達する3歳までは、テレビ視聴が長くならないように特に注意することが大切と思います。

岡山大学のプレスリリースより
 http://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r3/press20210422-10.pdf

■論文情報
論文名:Television watching in the early years of life and the association with parents’ concerns about decreased visual acuity in their elementary school aged child: results of a nationwide population based longitudinal survey of Japan.
掲 載 紙:Japanese Journal of Ophthalmology
著  者:Toshihiko Matsuo, Takashi Yorifuji
D O I:https://doi.org/10.1007/s10384-021-00831-x
U R L:https://link.springer.com/content/pdf/10.1007/s10384-021-00831-x

「体力向上によって改善する学力とは?」-苦手科目と得意科目で異なる効果-

神戸大学人間発達環境学研究科のページより。読みやすいように段落の順番を変えています。

 スポーツと学力は、50代以上の方なら「スポーツできても勉強できなくてもイイ」という風潮があったかと思います。

「脳みそ筋肉」

なんて言葉もあったくらいです。

私から言わせていただければ、頭が良くないと(言い方が悪いですね。「学力が高くないと」が適切かと)身体の動かし方(イメージすることを含む)や生理的な原理原則が理解できないと強くなれません。

戦術競技だと「分析力」やとっさの「判断力」には、特に必要になるのではないでしょうか。

話が主題から外れました(⌒-⌒; )

私は常々、スポーツをすることで学力も上がるものと感じていました。でも、言葉として例えるとスッキリ・はっきりしない部分がありましたが、この研究でよく分かりましたので、皆様に紹介します。

(ここから引用ーーーーーーーーーー

この研究は森田憲輝(北海道教育大学岩見沢校)、石原暢(神戸大学)、そして紙上敬太(筑波大学=論文投稿時、現中京大学)らの共同研究によって実施されました。論文は「npj Science of Learning」誌にて2021年4月1日より公開されています。

本研究では、469名の中学生を1年生時から3年生時まで2年間追跡し、体力(全身持久力)と苦手科目・得意科目の学業成績(国語・社会・数学・理科・英語の最低評定値と最高評定値)の変化の関係を調べました。

体力以外の学業成績に影響を与える要因であるBMI、社会経済要因(両親の学歴と世帯収入)、放課後の勉強時間を同時に調査し、それらの影響を統計学的に取り除いて分析しました。

その結果、中学1年生から中学3年生にかけて体力が向上すると、苦手科目の学業成績が改善(主要5教科の最低評定値が向上)することが示されました(図1)。一方で、体力の変化は得意科目の学業成績(主要5教科の最高評定値)の変化には関わっていませんでした。

この結果から、体力の向上をもたらすような習慣(運動部活動の練習など)は苦手科目の学業成績に好影響を与え、得意科目の学業成績に悪影響を与えないと推測されます。

出典 https://www.kobe-u.ac.jp/research_at_kobe/NEWS/news/2021_04_09_02.html

腸内細菌叢の乱れがアレルギー疾患の原因かー鶏卵アレルギーの小児腸内細菌叢分析、酪酸産生菌の減少を確認ー

食物アレルギーというのは、なかなか厄介なものです。

厚生労働省の発表によれば、我が国全人口の約2人に1人が何らかのアレルギー疾患に罹患していて、急速に 増加している。
出典:リウマチ・アレルギー対策委員会報告書(平成23年)

ということであり、年々増加の傾向を辿ってきている。今回発表された内容は興味深いので紹介します。

(引用以下よりーーーーーーーーーー

学校法人関西医科大学(大阪府枚方市 理事長・山下敏夫、学長・友田幸一)小児科学講座(主任教授・ 金子一成)山岸満医師、同赤川翔平講師らの研究チームは、鶏卵アレルギーを持つ小児患者と、同年代 の健康な小児の腸内細菌叢を比較し、前者では腸内細菌叢の多様性が低下していること、腸内細菌叢に 占める酪酸産生菌※1 の割合が有意に低下していることを発見しました。

これは、鶏卵アレルギーを持つ小児患者 18 例と、健康小 児 22 例の便を用いて遺伝子解析を行い、両者の腸内細菌叢 について

  1. 多様性
  2. 酪酸産生菌の割合
  3. 構成菌目

を比較 した結果から分かったものです。酪酸産生菌は腸内で酪酸を 作り出し、その結果過剰な免疫を抑制する制御性 T 細胞※2 を増やすことが知られていることから、酪酸産生菌の減少は 制御性 T 細胞の減少を招き、過剰な免疫応答を防ぐことが できないためアレルギー症状をきたすと考えられます。
本研究成果は、酪酸産生菌の減少という腸内細菌叢の乱れ を改善させることが、各種アレルギー疾患の予防・治療につ ながる可能性を示したものと考えられます。
なお、本研究をまとめた論文が欧州科学誌『Allergy』(イ
ンパクトファクター:8.706)に 3 月 9 日(火)23 時付(日本時間同 10 日 8 時)に掲載されました。

ーーーーーーーーーー引用ここまで)

関西医科大学発表資料より

http://www.kmu.ac.jp/news/laaes7000000g08n-att/202100405PressRelease.pdf

線香の煙を吸入すると喘息が悪化する?ー線香の煙が気道に及ぼす影響を科学的に解明ー

線香を使用する国や地域は、仏教圏を中心にアジアの国では広く使われています。日本では仏壇があれば常日頃線香を使用することも多く、最近ではエスニック雑貨店などで取り扱う「お香」でリラクゼーション効果を期待して利用する方も少なくは無いでしょう。

しかし、香りよりも気になるのは煙であり、煙は気道に影響を与えるのは容易に想像できる。

以下の新しい研究結果が発表されたので、ページを引用して、わかりやすく文章を変えずに見やすく編集しました。

(以下引用________________________

九州大学大学院医学研究院呼吸器内科学分野の松元幸一郎准教授、九州大学病院の神尾敬子医員、山本宜男医員らの研究グループは、線香の煙を吸入すると気道が収縮しやすくなり、気道を覆う上皮のバリア機能が低下することで、喘息を悪化させる可能性があることを明らかにしました。

 線香はアジアや中東の多くの国で、宗教的行事や香りを楽しむものとして慣習的に使用されています。線香を燃やすと多くの有害物質が発生し、タバコの燃焼時よりも高濃度のPM2.5が室内に長時間浮遊することが知られています。また最近の臨床研究で、線香を日常的に使用する家庭の子供は、使用しない家庭と比べて喘息のリスクが高く、肺機能も低下しやすくなることが報告されています。しかし、線香煙の吸入が、肺や気道の機能にどのように影響するのかは不明でした。

 本研究では、マウスに線香煙を吸入させると、気道過敏性が亢進(気道が収縮し喘息をおこしやすくなる)し、肺のタイトジャンクション蛋白※の発現が低下することを明らかにしました。さらに、線香煙は気道を覆う上皮細胞のバリア機能を低下させました。

これらの線香煙によるマウスの肺や気道への有害な作用は、線香煙吸入後に発生する酸化ストレスによるものであり、抗酸化剤を使用することで症状を改善することができます。

※タイトジャンクション蛋白は、細胞同士を密に結合させ気道上皮のバリア機能を保っており、炎症の原因となる吸入抗原が体内へ侵入することを防いでいます。

この成果は2021年3月31日付で「Scientific Reports」に掲載されました。

___________引用ここまで)

出典元:https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/585