腸内細菌叢の乱れがアレルギー疾患の原因かー鶏卵アレルギーの小児腸内細菌叢分析、酪酸産生菌の減少を確認ー

食物アレルギーというのは、なかなか厄介なものです。

厚生労働省の発表によれば、我が国全人口の約2人に1人が何らかのアレルギー疾患に罹患していて、急速に 増加している。
出典:リウマチ・アレルギー対策委員会報告書(平成23年)

ということであり、年々増加の傾向を辿ってきている。今回発表された内容は興味深いので紹介します。

(引用以下よりーーーーーーーーーー

学校法人関西医科大学(大阪府枚方市 理事長・山下敏夫、学長・友田幸一)小児科学講座(主任教授・ 金子一成)山岸満医師、同赤川翔平講師らの研究チームは、鶏卵アレルギーを持つ小児患者と、同年代 の健康な小児の腸内細菌叢を比較し、前者では腸内細菌叢の多様性が低下していること、腸内細菌叢に 占める酪酸産生菌※1 の割合が有意に低下していることを発見しました。

これは、鶏卵アレルギーを持つ小児患者 18 例と、健康小 児 22 例の便を用いて遺伝子解析を行い、両者の腸内細菌叢 について

  1. 多様性
  2. 酪酸産生菌の割合
  3. 構成菌目

を比較 した結果から分かったものです。酪酸産生菌は腸内で酪酸を 作り出し、その結果過剰な免疫を抑制する制御性 T 細胞※2 を増やすことが知られていることから、酪酸産生菌の減少は 制御性 T 細胞の減少を招き、過剰な免疫応答を防ぐことが できないためアレルギー症状をきたすと考えられます。
本研究成果は、酪酸産生菌の減少という腸内細菌叢の乱れ を改善させることが、各種アレルギー疾患の予防・治療につ ながる可能性を示したものと考えられます。
なお、本研究をまとめた論文が欧州科学誌『Allergy』(イ
ンパクトファクター:8.706)に 3 月 9 日(火)23 時付(日本時間同 10 日 8 時)に掲載されました。

ーーーーーーーーーー引用ここまで)

関西医科大学発表資料より

http://www.kmu.ac.jp/news/laaes7000000g08n-att/202100405PressRelease.pdf

ルイボス茶の摂取が関連した妊婦の症例

健康に良いとされるものも、組み合わせによっては問題となる典型なので、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の素材データベースから転載

https://hfnet.nibiohn.go.jp/img/siteTitleAdmin.png

ルイボス」危険情報:被害事例 (200817)
31歳妊婦 (日本) が、妊娠28週以降の数ヶ月間、チョコレートを週3 (摂取量不明) 、煮出したルイボス茶 (500 mL) を毎日摂取していたところ、妊娠400日の健診にて胎児心拍モニタリング異常が認められ、翌日に重症の胎児右心不全のため緊急帝王切開となった。出生児は経過観察にて改善し日齢6日で退院した (2019067739)
(2019067739) 日本周産期新生児学会. 2018;54(4):1136-9.

アレルギー性食品の早期導入は乳児の食物アレルギーを予防する可能性がある

 英国のロンドン大学キングスカレッジ、ロンドン大学セントジョージカレッジの研究報告によると、「卵やピーナッツなどのアレルギーを発症する食品を、離乳早期に子どもに与えることは、食品アレルギーの発症を予防に効果的」であろうという結果を得られた。

被験者:英国とウェールズの生後3か月の乳児1300人以上

研究方法:①早期導入群として生後3ヶ月から6種のアレルギー食品を母乳と一緒に与える。②標準群として6カ月間の母乳育児。以上の2グループに分ける。

結果:
1. 導入開始時に、食品感作のあった子供のうち、標準群では34.2%、早期導入群では19.2%が食物アレルギーを発症した。
2. 導入開始時にピーナッツに感作していた子供のうち標準群では33.3%、早期導入群では14.3%がアレルギーを発症した。
3. 導入開始時に卵に感作していた子供のうち標準群では48.7%、早期導入群では20.0%がアレルギーを発症した。
4. 食品の早期導入は、食物アレルギーの高リスクでない子供ではアレルギーのリスクを高めなかった。
5. 導入開始時に感作されていなかった子供では、両グループのアレルギー発症率に差がなかった。

早期導入群では、早期導入食品の過程を到達した割合は42%だったが、結果の違いは明らかであった。問題としてこの達成率の低さはあるが、母親の高齢、人種、生活の質が低いことと関連していた。

「これら結果は、子どものアレルギーに関する離乳食の推奨や、新しいガイドラインの開発に有効である。もし、早期にアレルギー源となる食品を与えることが推奨されるなら、私たちは、支援が必要な集団のデータを提供できる」

まとめ:

 アレルギーとなる食品を早期に与えると、ピーナッツや卵アレルギーの発症率が有意に少なかった。私たちの研究は、アレルギー食品を早期に与えることが、アレルギーの発症を抑える上で重要な役割を果たす可能性を示した。

あくまでも海外での研究結果の紹介です。よって、詳しくは専門医に相談するようにお願いいたします!

出典 世界の最新健康・栄養ニュースよりhttps://www.nibiohn.go.jp/eiken/linkdediet/news/FMPro%3F-db=NEWS.fp5&-Format=detail.htm&kibanID=69090&-lay=lay&-Find.html

破裂済み卵胞から体外受精に成功

不妊治療における「採卵」は、成熟卵胞に針を刺して吸引によって卵子を体外に出します。

卵胞が破裂して排卵してしまうと採卵ができないと言われていたため、点鼻薬や注射(黄体ホルモン抑制剤)で排卵を抑制し、採卵日に備えたわけです。

しかし、千葉大学大学院医学研究院の生水真紀夫(しょうずまきお) 教授と Natural ART Clinic 日本橋(寺元章吉理事長)の共同研究グループは、従来の体外受精では利用されてこなかった「排卵済み」とされる卵胞から高い確率で卵子を回収できることを見いだし、その卵子を使った体外受精に成功しました。

研究グループは、破裂済み卵胞の全てが卵子を押し出しているわけではないことを突き止め、破裂済み卵胞を穿刺・吸引することで、高い確率で卵子を回収できることを示しました。587 名の不妊症の患者さんの破裂済み卵胞を穿刺し、255 名(43%)から卵子を回収できました。この 255 名に体外受精を実施したところ、28 名(11%)に健康な新生児が生まれました。

また、40%以上もの卵子が破裂後も卵胞の中に留まっていることが判明したことから、今まで原因不明とされていた不妊の中には、卵胞が破裂しても卵子が押し出されずに無排卵」となっている事象が含まれている可能性が示されました。

今後は、体外受精に利用できる卵子の数が増えることで、体外受精の機会が増え、妊娠率が高まることを期待できるのではないでしょうか?

個人的には、空胞と呼ばれるような卵子を有さない卵胞の存在がどのような意味を持つのかを知りたい。

原典:Prematurely ruptured dominant follicles often retain competent oocytes in infertile women,Scientific Reports 掲載はOct.21,2019

日本語出典:https://research-er.jp/articles/view/83416

母乳栄養児におけるビフィズス菌優勢な腸内フローラが形成される仕組みの一端が解明

少し古い記事ですが、見つけたのでアップ。

研究記事の引用ですから、出どころはしっかりしていると思いましたので、記事にしてみました。

ただ間違えて欲しくないのは、当センターとしては、母乳が出たら出たで良いし、出なかったら出なかって良いと思っています。

助産師さんのよくある「母乳信仰」、強烈な宗教じみた「母乳教」のような立場ではないことだけ付け加えておきます。

 酵素の立体構造が云々という研究内容ですが、詳しいことを理解するというより、この論文の説明の中にある情報に目を向けていただき、論文の導き出す結果ではなく、知識として持っていて欲しいことは以下の点にまとめられます。

1.授乳を開始するとビフィズス菌優勢な腸内フローラが形成されるが、離乳と同時にビフィズス菌優勢な腸内フローラは消滅する。

2.完全母乳で育てた乳児の糞便と、混合乳で育てた乳児の糞便では、ビフィズス菌の数は明らかに完全母乳の乳児の糞便の方に多い。

3.ヒトの母乳に含まれるオリゴ糖(母乳オリゴ糖)を利用するための酵素は、ビフィズス菌のみ有する。

 ビフィズス菌は、1899年にパスツール研究所のTissierによって、母乳栄養児の糞便に多くみられる細菌として単離されました(単離とは色々混ざっているものから、単一のものを抽出すること)。古い研究がいまだに生きているわけです。

 そして授乳を開始すると、すぐに乳児の腸管にはビフィズス菌優勢な腸内フローラ(腸内細菌叢)が形成されます。しかし、離乳と同時にこのビフィズス菌優勢な腸内フローラは消滅します。よって、人間の母乳の中にはビフィズス菌を増やすなにかがあると予測されていましたが、そのシステムは解明されていませんでした。

 そこで研究グループは、人の母乳に含まれるオリゴ糖(母乳オリゴ糖)を利用するための酵素(母乳オリゴ糖分解酵素)をビフィズス菌のみが有していることに着目して研究を進めてきました。今回の研究では特にラクト-N-ビオシダーゼという、母乳オリゴ糖の中でも含有量の高い、ラクト-N-テトラオースというオリゴ糖に作用する酵素に着目して研究を行っています。

 京都府内の助産院の協力を得て、完全母乳で育てた乳児の糞便と混合乳で育てた乳児の糞便を解析したところ、ビフィズス菌の数が完全母乳栄養児で有意に多いこと、またラクト-N-ビオシダーゼの遺伝子数も有意に高いことを見出しました。次に、X線結晶構造解析によりこのラクトN-ビオシダーゼの立体構造を解明することで、そのユニークな構造特性と詳細な反応機構を明らかとしました。ラクトN-テトラオースというオリゴ糖は、様々な霊長類の乳中でも人乳にのみ特に多く含まれている成分です。また、ビフィズス菌はヒトの乳児に特徴的に多く生息する細菌です。このことから、ヒトはその乳児期に積極的にビフィズス菌と共生するという進化をとげ、それを支えたのが母乳オリゴ糖であることが推察されます。

http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2017/170407_1.html

リンク先記事内にPDF資料あり